リサイズプリントはあり?なし?  (その1)

最近のデジカメで撮影する画像の画素数は高くなる一方です。そのため、高画素データをプリントする際には、プリンターに負荷がかかり、Lサイズの写真1枚プリントするにも、異常なほどプリント時間がかかります。
 その状況を改善したいがため、メーカーに相談すると、たいていの場合、新しい機械ならば高速なので、新しい機械に買い換えませんか?といわれるばかりです。はたして新しい機械は本当に高速にプリントできるのでしょうか?それとも、今、使用している機械でも高速処理ができるような方法は本当にないのでしょうか?

 本ページではデジタルプリントを高速で処理ををする方法のひとつとして、一部の店舗で利用されている、画像の縮小リサイズという行為が正しい方法であるのか否かをデジタルプリントの本質という点から検証してみます。

【デジタルプリンターの仕組みを改めて理解するー準備編】

●仕組み理解の準備 その1 印画紙への露光方法の違い
●アナログ機は、露光台に置かれた印画紙全面に対して露光をかける ●デジタル機には、露光台がなく、レーザーから直線的に搬送される印画紙に対して露光をかける。露光台の大きさに制限がないので長尺プリントも可能となる


●仕組み理解の準備 その2 出力の単位(DPIとは)
レーザー光源部から発せられる光は、左の図のように印画紙に対して露光している。
左図では便箋的に光の数を矢印として表現しているが、この光の数は機械の性能そのものであり、画素数など画像の大きさに関係なく、常に一定の数しか露光することができない。
この一定の数は、DPIという単位で表現され、カタログ上に表記される。

【重要】
DPIを表現するときの、長ささの単位は1インチあたりの表現となる(1インチ=2.54センチ)
QSS-30型を例にすると、30型の出力DPI数は 1インチあたり310dpi なので、L(89ミリ*127ミリ=3.5インチ*5インチ)サイズへの露光であれば レーザー光照射本数310dpi*3.5インチ=1085本となる(30型のLサイズへのプリントには、89ペーパーしか使用できない)となる。送りに対しては5インチなので 310dpi*5インチ=1550dpiと計算できる。
すなわち、QSS-30型において、Lサイズでのプリントは計算上 1085*1550=1,681,750 となり、レーザーエンジンから発せられる光源照射の本数は 1,681,750本となる
これはQSS-30型の基本性能であり、画像の品質には一切関係なく、出力はこれ以上でもこれ以下でもない。

又、画像出力において、DPIの総数はピクセルと同じ意味を持っています。すなわち、QSS-30型で出力するLサイズのプリントは、おおよそ168万画素の出力ということになります。



●仕組み理解の準備 その3 色空間の違い

色空間とは、人間が感じる色に対して、再現することが可能な色の領域のことである

人間の感じることのできる色を100とした場合、左図のとおり、sRGBで再現できるカバー率はおおよそ55ぐらいである。それに対してAdobeRGBではおおよそ70ぐらいとなり、かなり広範の領域をカバーできる。
sRGBとは、1999年10月に標準化国際電気標準会議(IEC)によって規定された規格で、基本的な概念としてはCRTで表現できる色を基準とし、ディスプレイやデジタル・カメラなどの機器間での共通色空間規格として標準化されている。それに対して、AdobeRGBは、アドビシステムズが1998年に提唱したもので、sRGBに比べて緑の色域が広く、多くの印刷所などで使用されるインクの色域を含むことから、印刷などへの適合度が高い。
 ここで、注意しなければならないのは、プリンターの出力できる色空間はあらかじめ決まっているということである。すなわちミニラボ店で使用するプリンターは機器間での共通性を重視するため、出力する色空間を、sRGBで出力しているという点です。画像のデータがAdobeRGBであったとしても、出力されるプリントはsRGBで出力されます。これらは、印画紙や薬品の問題もあり、新しい機械であっても変わることは無いと思われます。

 ちなみに、AdobeRGBで撮影した画像データをsRGBでプリントすると、プリントがくすんでしまいます。これは、sRGBで出力できない色をプリンターが出力する際、プリンターが自ら出力できる色に置き換えるため、必然的に全体のカラーバランスか狂ってしまうことに起因する現象です。又、逆にsRGBで撮影したものをAdobeRGBでプリントすると彩度が上がるという現象が発生します。基本的に、撮影時に記録した色空間において、出力の際におけるsRGBとAdobeRGBには互換性はありません(AdobeRGBで記録した画像であれば、AbobeRGBで出力する必要があります)。
基本的に銀塩プリントは、あらかじめ銀という発色感剤を用いているため、実際の色よりも鮮やかに仕上がる傾向があります。従って、基本的に銀塩プリントではAdobeRGBを必要としていません。


 最近の一眼レフの機能には、撮影データをAbobeRGBで保存する機能があり、色空間が広いからといって、このAdobeRGBを使うお客様がいらっしゃいます。しかし、一眼レフの機能として使い方を覚えているにすぎず、出力する機器との互換性までを考えて撮影している様子は見受けられません。このためお店に対して、色のクレームをいってくる方がいらっしゃいますが、お店としてはきちんと色空間のことを説明できるように理論武装しておかなければならないと思います。又これらの理論を知っていれば、お店の信頼度も向上するはずです。キャノン等のインクジェットプリンターはAdobeRGBに対応していますが、これは、あくまでもインクジェットプリンターでは、銀塩と同じような鮮やかな色諧調を得ることができないため、AdobeRGBにて色空間を拡張し、インクの色数を増やすことで銀塩と同じ鮮やかな色調効果を求める策でしかありません。
※次回説明しますが、人間には全体と一点で見た場合、輝度差(コントラスト)による鮮やかさの錯覚が発生するので、インクジェット出力は、費用対効果の面を考慮すると、未だ銀塩を超えることはできていません。